前回の話の続き♪
前回
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「僕の小鳥さんがね〜♪」
たーちゃんには物心つかない頃から、(他の人には見えない)小鳥さんがいた。
たーちゃんにしか見えない小鳥さんたち。
その数はたくさんいるらしく、しょっちゅう入れ替わり立ち替わり、家のダイニングと壁の隙間から出入りしている。
2、3才から言い出してから、小学校低学年まではずっと「僕の小鳥さん」と呼んで、家でも外でも小鳥さんの話をよくしていた。
今日は小鳥さんがこう言ってたとか、小鳥さんとこんなことした、とか。
たーちゃんが小学校に上がってる頃、次男のともたんもその会話をもちろん聞いている。
するとある日、ともたんが
「…僕にも小鳥さんいるよ」
と言い出した。
………そりゃそうなるだろう(笑)
あまりにもたーちゃんが「小鳥さんはねー」、って目の前にいるように小鳥さんの話をリアリティある話し方で語ってるから、最初の方は、ともたんも無言で聞いてる日々が続いていたのだが、ある日ついにともたんも言い出したのだ。
「僕にも僕だけの小鳥さんがいる!」
……ともたん。 君の気持ちはよくわかるよ。 うん。
なので、やはり私はまたノッてあげる。
「ともたんの小鳥さんはどんな小鳥さん?」
すると、ともたんは話し出す。
しかし、
たーちゃんほど小鳥さんの説明がおぼつかない。
ただ「小鳥さんが僕にもいる」「今ここにいる」とかアバウトな内容。
小鳥さんの色とか「どんな話をした」とか、「今小鳥さんが何してるとか」、「急に去って行った」とか、「今(他の小鳥さん)に〜を伝えに言った」とか、たーちゃんのような説明ができない。
でも、それ以来ずっと、ともたんにも「小鳥さんがいる」と言うことになった。
そんな会話が数年間、日常で、もう当たり前のようによく繰り広げられていた。
主に食事中が多かった気がする。
そしてある日、たーちゃんがいつにも増して具体的に「小鳥さん」の話を始めた。
この間青い小鳥さんこんなこと言って面白かったよ、と かなり具体的な内容。
負けじとともたんも「僕の小鳥さんだって!」と言って話を膨らまそうとする。
それに対しすごい反応はもうしなくなっていた私💦
2人が小鳥さんアピールに躍起になっていると、ふと、ぴたりと会話が止まった。
私は家の用事をしていて、2人の会話に立ち入らなかった。
が、さりげなく耳はダンボにして聞いていた。
沈黙が突如訪れた後、ともたんがたーちゃんの耳元に寄っていき、私に聞こえないようにヒソヒソ声で囁いていた。
「… ねえ、お兄ちゃん、、、
小鳥さんって ほんとにいるの?」
!!
ともたん、、、それは、、、
触れてはいけないやつ!
しかし、一度言うと決意したともたんを止めることは、もう誰にも出来ない。
「ねえ? ねえ、お兄ちゃん! 小鳥さんっ 本当にいるの?」
真相を聞き出そうと、しがみつくともたん。
たーちゃんはと言うと、
……ずっと無言だ。
と言うより、たーちゃん、ともたんの問いかけを思いっきり無視している。
私は複雑な思いと笑いを堪えながら、何も聞こえてないふりして家事を遂行したのでありました。
そして。
そこからたーちゃんとともたんはさらに成長し、小学5年生くらいになったたーちゃん。
私はある日、思い出したように話を振った。
「……そういえば、、最近小鳥さんって言わないね」
「…。」
無言。
触れるなと言わんばかりに無言を貫く小学5年生。
……私も聞いてはいけなかったようだ。(好奇心に勝てなかった)
いや、本人が大人になったのだと思うことにしよう。
それ以来、たーちゃんもともたんも、「小鳥さん」とは言わなくなったのでありました。
しかし母は信じているぞ。本当に2人には小鳥さんがいたんだと^ ^
親としては、その純粋な目で見えてた小鳥さんの話、もっと聞いていたかったな^^
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